368: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/06/15(木) 01:04:13.55 ID:qoUzhAK/0
戦車砲と艦砲射撃の音、銃声が壮絶に混ざりあい辺りを満たす。だが、俺の耳にはそれらの騒音より遙かに重く、大きく、イヨウ中佐の淡々とした語りが響く。
(=゚ω゚)ノ《言いたくないけれど、最早大勢は決したよぅ。ベルリン放棄と聞いてGraf ZeppelinはともかくBismarckは烈火の如く怒っていたけれど、彼女にも戦況の詳細を話してなんとか納得して貰ったよぅ……まさか戦艦がバイクで乗り込んでくるなんて、ヴァルハラへの土産話には丁度いいよぅ》
中佐はそう言って、自嘲気味に乾いた笑い声を上げた。
(=゚ω゚)ノ《艦娘の回収手配は完了している。ポーランド陸軍にオーデル川での防衛線へ一時的に参加させることを条件として艦娘の移送を手伝わせるようにした。君達の後退が完了次第、遅滞部隊も順次退却を開始する。
とはいえさっきも言ったとおり遅滞部隊は到底長くは持たない、そっちもリ級eliteの存在がある以上難しいとは思うけれど、何とか退却して欲しいよぅ》
('A`)「………その口ぶりですと、どうも中佐は脱出するつもりがないようですが」
(=゚ω゚)ノ《無謀な作戦でたくさんの兵士を死なせた責任は僕自身が取らなきゃ行けないよぅ。
それにこう見えて僕は日本通でね。カツナガ=モウリというサムライが大好きなんだよぅ》
学のない俺にはまるで馴染みのない名前だが、口ぶりから“どんなことをした人間か”は概ね想像がつく。
黙り込んだ俺に、中佐は更に言葉を重ねた。
(=゚ω゚)ノ《これは命令だよぅ少尉。
────そして、これが現段階で可能な次善の手だ》
('A`)「っ」
そうだ。そんなことは言われなくても解っている。
中核艦隊に奥深くまで食い破られたことによって、“軽巡棲姫のみに艦娘の全火力を集中する”という【最善の手】は最早打てない。
軽巡棲姫の撃沈が限りなく不可能に近い状態になった今、俺達がベルリンでこれ以上交戦することはほとんど無意味。次に為すべきことは、Bismarck zweiを初めとする貴重な戦力を可能な限り温存して逃げ延びること。
そして、退却の態勢が整うまでの遅滞部隊の犠牲も、艦娘という“貴重な戦力”を確実に逃がすために囮となるイヨウ中佐の犠牲も、この戦争に少しでも希望を残すための必要経費だと。
そんなことは、俺にだって解っている。
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