13:名無しNIPPER[sage saga]
2017/05/08(月) 12:40:51.64 ID:N84Ou5maO
秋口の空模様のように表情を安定させないツンを面食らって眺めつつコーヒーカップを持ち上げるが、いやに軽い。覗いてみるとカップにはなにも入っていなかった。
ドイツには空のコーヒーカップに口吻をする習慣はないので、通りすがったウエイトレスにお代わりを注文する。
ξ゚听)ξ「貴方、この後予定はないのね?」
そう尋ねつつもう一度カップを口元に持って行こうとしたツンは、一瞬眼を見開いてカップの中を覗き込んだ後「私にもお代わりを」とウェイトレスに手元のそれを差し出す。
……はて、ではさっきの動きはいったい何だったのだろうか。
('A`)「というか待て、何を根拠に決めつけてるんだ?」
ξ゚听)ξ「予定のある人間がウェイター呼び止めてわざわざベルリンの見所なんて聞くかしらね?」
('A`)「……」
ぐうの音も出ない正論を叩きつけられ、口にコーヒーと苦虫を含んで黙り込む。単に変な奴というわけではなく、存外鋭い。
('A`)「軍人やめて探偵でも始めたらどうだ?女エルキュール=ポワロになれるぜ」
ξ--)ξ「よく勘違いされるけど、ポワロはフランス語圏に住んでるだけでベルギー人よ。それに私、子供の頃あこがれたのはアルセーヌ=ルパンの方だし」
ああ言えばこう言う奴だ。
('A`)「仰るとおり、何も特に決めてないよ。というかドイツ人でありながらベルリンに来たこと自体数えるほどしかないな」
ξ゚听)ξ「そう……」
ξ゚听)ξ
ξ゚听)ξ「あー………んっん。その、私はフランス広場の戦車道展に行こうと思ってるんだけど、良かったら貴方も一緒に来る?」
('A`)「え?」
ξ゚听)ξ「ほ、ほら。それなりに扱えるようになったとはいえやっぱり私のドイツ語なんて付け焼き刃だし?ベルリンも私は完全に初めてだし?その、もし行くところがないなら一緒に回ってくれないかしら……なんて……」
('A`)「別に構わんが、エスコートといえるような上質な案内はできなi」
ξ*゚听)ξ「そ、そう!!なら仕方ないから貴方にエスコートされてあげるわ!
別にどっちでも良かったけど!!どっちでも良かったけど!!」
('A`;)「……」
どっちでも良かったのなら、一人でさっさとフランス広場に行けばよかったんじゃないだろうか。
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