193: ◆n0ZM40SC3M[sage saga]
2017/05/08(月) 01:59:56.64 ID:6an8YmUi0
六枚切りの食パンを二枚食べた後、歯を磨いて顔を洗い、服を着替えた。
一限目はとうに始まっていたが、今日くらいはサボってもいいだろう。
テーブルと少し離れて私が座り、私にもたれかかるようにしてテーブルとの間にガヴリールが座る。
彼女と編み物をするときはよくこんな風にしていた。
これではかえって気が散るのではないかと思っていたが、先程逆の立場になってみて、
案外悪くないかもしれないと認識を改めた。
「お前さあ、こんなちょっとした失敗で、絶交されるかもとか考えてただろ」
「それは……ちょっとだけね。一ミリくらい」
「一ミリって、小学生かよ。そうやって、一つの失敗で全部が崩壊するみたいに拡大解釈するとか、
現実を正しく見れなくなる症状をレンズの歪みっていうんだよ。気を付けろ」
「へぇ、そうなの。不良品の望遠鏡みたいね」
「まあ、遠くなんて見据えずに近場だけ見て生きていくのも悪くはないけどね……。どっちも見えるに越したことはない」
255Res/196.42 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20