168: ◆n0ZM40SC3M[sage saga]
2017/05/08(月) 01:46:07.97 ID:6an8YmUi0
何かに追われているわけでも、何かを待たせているわけでもないのに、私は走らずにはいられなかった。
ガヴリールの家から離れれば嫌な気持ちが弱まるとでも思ったのかもしれないが、
私の気持ちは一歩踏み出すごとに水を吸っていくようで、重くのしかかってくるばかりだった。
玄関のドアを、やっと一人は入れる程度だけ開けて、すり抜けるように家の中へ入る。
靴を脱ぐ気力も湧かず、私はその場にへたりこんでしまった。
今日のことは、全くの予想外だった。
それはまるで、水を入れたバケツの持ち手が、持ち上がった瞬間に壊れたかのような、完全に意識の外からの不意打ちだった。
何が業火で焼かれるだ……。
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