サターニャ「サタニキア百科事典」
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157: ◆n0ZM40SC3M[sage saga]
2017/05/08(月) 01:40:38.95 ID:6an8YmUi0



「ありゃ、キャンドルから黒い煙が出てる」

ガヴリールは慣れた手つきでキャンドルに火をつけた。

いつもはほとんど煙は出ないが、今日は確かに黒々とした細い煙が蒸気に混ざっていて、少し焦げ臭い。

火災事故を思わせるその煙は、凶報を知らせる狼煙のようだった。

何故だか目が離せず、じっと見ていると、その煙は私の中に入り込んできて、内側を煤だらけにされている気がしてくる。

その場の空気に飲まれやすいのは、私の中が空洞だからかもしれない……。

ピンセットを取って来たガヴリールが、ロウソクの芯をつまんで火を消す。


「昨日までは、何ともなかったんだけど」

「長く使っていると、芯が焦げてしまってこうなるのよ。ハサミで切って、短くするといいわよ」

「そうなんだ。まだ熱いし、後でしとく。今日はこっちを使おう」


ガヴリールは別のキャンドルを棚から持ってきて火をともす。

日曜日の朝に顔を洗った時のように頭がすっきりとしてくる、

嗅ぎなれた爽やかな香りが部屋に広がった。





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