154: ◆n0ZM40SC3M[sage saga]
2017/05/08(月) 01:38:42.46 ID:6an8YmUi0
二人の間に重たい沈黙の霧が立ち込める。
次に何を言うべきか……馬鹿な私には、全く見当がつかなかった。
濃霧の中で迷子になった私は、ただ座って霧が晴れるのを待つしかなかった。
「……そうです、それでいいんです。今日は、もうお開きにしましょうか」
ラフィエルが伝票をとり、隣に置いていたバッグを肩にかける。
「私はもう少し残るわ。コーヒーが残ってるの」
「そうですか。ではまた、学校で。さようなら」
「ええ、気を付けて帰りなさい」
ドアに付いたベルの音でラフィエルが去ったのを確認して、ようやく顔を上げる。
そこは二人掛けのシートが夕日で照らされるばかりで、まるで最初からだれもいなかったようだった。
一人で飲む冷めたコーヒーは、酸味ばかりが強くて、あまりおいしくなかった。
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