サターニャ「サタニキア百科事典」
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128: ◆n0ZM40SC3M[sage saga]
2017/05/08(月) 01:24:29.38 ID:6an8YmUi0




頭の奥がスッと冷えていくように感じた。

私が今騒いでも何にもならない。

明日、新しく買いなおすことにして、今日はもう寝よう。

自嘲気味に短くため息をつき、ふと気まぐれに棒針編みの本を開いてみることにする。

本棚から、その大きくて薄めの本を取り出すと、何か棒状のものが足元に転がった。

それは、一時間も探し続けていた針だった。

どうやら教本に挟まっていたらしい。

そういえば、借りていた本を無くしてしまったことを謝るために泣きながら電話して聞かされたのは、

その前日にすでに返していたことを私が忘れていたということだったっけ……。

こういうのを確か、灯台下暗しというのだったと思うが、なんとも情けない気分になるものだ。

しばらく呆然と床を見つめ、自分への失望と安堵の入り混じった気持ちで針を拾った。

それから、いつもの針で糸を編んでいると、少し落ち着いてこれからのことを考えることができた。

気が付けば、時計は二時を回っていた。





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