【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」
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68: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/21(日) 00:25:42.25 ID:9pse+9K10
 スタジオを出ると、時刻はちょうど正午だった。
 とても天気がよく、雲一つない青空の中心に太陽が輝いている。
 俺は停めていた車のロックを解除する。三人に車に乗るよう促すと、春菜が俺の前にやってきた。

「プロデューサー、フォローしていただいて、ありがとうございました」春菜は嬉しそうに微笑む。「私、眼鏡は外したくないってちゃんと言おうと思ったんですけど、やっぱり一瞬戸惑っちゃって。プロデューサーが割って入ってくれて、嬉しかったです」

「ああ」

「私、もう迷いません」春菜は空を見た。「眼鏡をかけた私が、アイドルの上条春菜です。私自身がそのことを信じてあげなきゃ、だめなんですよね。スタッフやファンの人なら、私が眼鏡のことを大好きだって知ってる。でも、私を知らない人達の前では通じない。そういうときこそ、怖がらないで私が眼鏡大好きだってことを、アピールしなくちゃいけません」

「ああ、そうだな」

 春菜は晴れやかな顔で微笑む。

「がんばります。眼鏡に恥じないために。いつか、眼鏡のフレームとレンズの向こうに、ファンのみなさんでいっぱいの、きらきらした、私の……私だけの景色を見ることができるように。そうだ、そのときはお客さんもみんな、眼鏡をかけてくれたら、いいと思いませんか?」

 俺は笑って肯定の意志を示した。

「今日のこの青空といっしょに、今の気持ちをしっかり覚えて、忘れないようにします」

 春菜の目指す瞬間が訪れるそのとき、俺がどこに立っているのかはわからないが、今はただ、春菜たちを支えてやろうと素直に思う。

「プロデューサー、まだ出発しないっスかー?」

 比奈に尋ねられて、俺と春菜は一つずつうなずき合うと、車に乗り込んだ。


第五話『私の青空』
・・・END



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