【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」
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40: ◆Z5wk4/jklI[saga]
2017/05/07(日) 01:19:28.32 ID:LHxNoXTK0
「……アイドルのライブ、初めてちゃんと見たっス」

 比奈が俺のとなりへと歩いてくる。
 興奮しっぱなしの茜のほうを眺めながら、比奈はつづけた。

「引きこもってたアタシでも、リア充の世界に、あの舞台に立てるのか……わからないっスけど、ちょっと、興味出てきたっス。なんだか……すっごく熱いマンガ読んだときと似てるっスね、なにかしたくて、いてもたってもいられなくなる感じっス」

「……そうか」俺は比奈の横顔を見た。「良かった」

「でも、プロデューサーは、あのステージを見ても、辞めたいって思っちゃうんスね」

「……」

 俺は沈黙した。比奈はこちらを見はしなかった。

「慣れっスかね……マンガも、ある時を境にぱったり描かなくなっちゃう人はいるっス。みんな最初は、熱を持ってたはずなんスけどね。どこに置いてきちゃうのか……アタシは少なくとも、さっき感じた熱さはもう少し、追いかけてみるっスよ。今はプロデュース、おねがいするっス」

「……ああ」

 俺の返事を聞いて、比奈はひとつ頷くと、また茜たちのほうへ歩いて行った。

 茜は両手に裕美とほたるそれぞれの手をとって、天井に向かって掲げると、大きな声でいつものシャウトをしていた。
 その不安の欠片も持っていないような、突き抜けた明るい声と表情に、俺は思わず目を細めた。


 その数日後。
 俺は上司から、過労で倒れた先輩の容態が悪く、復帰には時間がかかることを伝えられることになった。



第三話『ハートに火をつけて』
・・・END

 


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