7:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/23(日) 23:55:05.67 ID:p+cBhhHk0
そうだ。確かにさっきの声はこいつの声だった。
欲しいか?お前の人生を変える力を。
ああそうだ。欲しいとも!
(何だって良い。今のこんな惨めな暮らしから抜け出せるならな!)
満は失念していた。
彼の愛読する少年漫画の主人公の大半が、自分が使う異能力を望まぬ
形で入手し、その力のせいで自分の周囲を不幸にしていくことを。
だが、今の彼にはそんなことを冷静に考えるだけの思考力はなかった。
手軽に手に入った力できっと俺の都合の良いように面白おかしく楽しく
生きていけるんだ。程度の実感しか、目の前の脅威に対して抱くことが
出来なかったのだ。
そんな目の前のバカを見下すような薄ら笑いを浮かべた神崎士郎は、
自分の懐から一枚の茶色い板のような何かを取り出したのだった。
「これが、お前が手に入れる力だ」
「ん〜?なんだこりゃ?」
まるでプラスチックと鉄が入り交じったような材質の、掌にすっぽりと
おさまるような板を手に取った満を見ながら、神崎士郎は訥々とこれから
始まるであろう戦いの説明を始めたのだった。
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