461:名無しNIPPER[sage]
2017/09/27(水) 19:44:59.61 ID:JB4A+Idt0
30話 城戸真一
〜回想〜
物心ついたときから、城戸真一の心の中には医学や科学で説明のつかない
荒れ狂う破壊衝動と暴力が巣喰っていた。
生まれつき心の中にある箍が外れているのではないかと真一の父母はそう
分析し、腫れ物に触るようにして一つ年下の弟である真二を可愛がり、兄である
己をなるべく遠ざけようと腐心した。
真一は常に孤独だった。
そしてその孤独を唯一埋めることが出来たのが暴力だった。
目につく物全てを壊そうとする恐ろしい人間性は、既に幼少期から芽生えていた。
そんなとき、真一の運命を変える出会いが彼に訪れた。
城戸真一と神崎優衣が初めて会ったのは彼が中学二年生の時だった。
「兄ちゃん。ちょっと一緒に来てよ」
自分に逆らった中学三年生を半殺しにし、逆らったというのは真一の視点であり、
本当のところは真一がクラスメイトに暴力を振るうのを見かね、仲裁に入った
数人の生徒達の喉に鉛筆を突き刺したというのが真実である。
事が事だけに中学校の校長に自宅謹慎を命じられ、暇をもて余す兄を見かねた
真二が両親が夜寝静まったのを見計らい、兄を外に連れ出そうとしたのだった。
「何だよ真司、もう夜中の12時じゃねーか」
「お前、明日も学校だろ?寝なくていいのかよ」
「大丈夫だって。兄ちゃん」
他人に対して躊躇無く快楽のままに暴力を振るえる真一だったが、一つ年下の
弟である真二にはどうしてもそうした気が起きずにいた。
485Res/614.50 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20