391:名無しNIPPER[sage saga]
2017/05/23(火) 12:43:49.58 ID:JcVHvI7Q0
「...東條のした事は殺人だ。決して許される事ではないと思う」
「ああ...だから、だから言ったのに...復讐するなって」
「俺が...俺が...必ずお前を止めてやるって言ったのに...」
「馬鹿野郎...なんで、なんで先走っちまったんだよ....美穂」
瞳から大粒の涙をこぼしながら、それでも真司は懸命に感情を抑える。
「城戸さん。その...美穂さんってどんな人だったんですか?」
「ああ....バカで嘘つきで直情的で素直じゃない女詐欺師だったよ」
「でも....浅倉に殺された家族を、蘇らせようとして一生懸命戦ってた」
「何度も助けようとしたんだ....でも、アイツは復讐に凝り固まってて」
「止めてくれって...お前を失いたくないって...言ったのに...」
堪えきれず、机に突っ伏した真司は悲しみの涙を流し続けた。
自分にさえ手を差し伸べた真司の事だ。
救おうとして、何度も共闘した間柄の相手がもう二度と自分の手の
届かない場所へと旅立ってしまったことに、本気で悲しんでいるに
違いない。
多分、あの秋山蓮が消息を絶ったときもきっと今と同じような状態に
陥ったのだろう。
「城戸。東條は確かに頭のおかしいキチガイ一歩手前の人間だったよ」
「でも、アイツは最後に自分の命と引き替えに浅倉を討ったんだ」
「東條のした事は正当化出来ない。君の涙の元凶はアイツだからだ」
「だけど...100%ある内の1%だけでもいい。アイツを許して欲しい」
「アイツも君と同じような事を考えてこの戦いに命を賭けていた」
「もし、それでも君が東條を許したくないと思うのなら...」
涙を流し、懸命に怒りの感情を封じ込んでいる真司の目の前に仲村は
タイガのデッキを置き、その左手に持った金槌を真司の右手に握らせる。
「このデッキを壊して、ここから出て行ってくれて構わない」
「良いんだな?」
ぞっとするような声音で真司が仲村に確認を取る。
「ああ。東條はもう死んだ。君の復讐に俺は手を貸す事は出来ないが」
「東條が一番大切にしていた『誇り』を君は壊す権利がある」
「さぁ、やるなら....やれ」
仲村の言葉に、決心を固めた真司は躊躇いながらも自分の頭上高く
ハンマーを振り上げ、そのままタイガのデッキへと振り落とした。
ガァアアアアアン!
目を閉じながらも、事の成り行きを見守っていた満は、目を開けた時
タイガのデッキのすぐ隣の机の面が陥没している事に気が付いた。
485Res/614.50 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20