281:名無しNIPPER
2017/04/30(日) 11:42:08.58 ID:DSAJ+Ylu0
19話 〜生き残るために〜
〜北岡弁護士事務所〜
「ふぅ...朝から随分と騒がしいねぇ。ゴロちゃん」
「...検討はつきますが、どうしましょうか先生?」
「そうだね。扉を蹴破られる前に電話しちゃおうか」
朝九時、北岡弁護士事務所に緊張が走った。
朝食を楽しんでいた秀一と吾郎は顔を見合わせ、今日が運命の日だと
確信した。
玄関の監視カメラの映像を吾郎が確認した所、扉の前に立っているのは
まぎれもなく浅倉威ということが分かった。
無言で電話を取った秀一が電話をかけた相手は香川だった。
(例の場所、ねぇ)
秀一は皮肉めいた笑みを浮かべ、香川とのやりとりを思い出していた。
浅倉を倒すという目的の下に一時的な休戦同盟を受け入れた秀一と
吾郎はここから3km離れた香川の指定した地下通路の事を思い浮かべる。
地上から20mの深さにあるその通路は幅10m、高さ6mの、長さ1300m、
そして出入り口が2ヶ所しかない一方通行という浅倉を仕留めるには、
まさにうってつけの場所だった。
香川によると既に浅倉を逃がさない細工は仕掛け終わり、後は秀一が
浅倉を誘導すれば全部香川の方で終わらせるという取り決めだったが、
秀一も香川もあわよくば互いの首をかっ切るような悪辣さをその策の中に
見いだしていた。
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