247:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/28(金) 22:54:43.75 ID:xchiMuX50
「そう、ですね。仲村君の言うとおりですね」
「彼の事をいつまでも放っておく訳にはいきません...が」
「最終的に決断を下すのはもう少し後になりそうです」
「...やっぱり、アイツは信用できませんか?」
「いえ。彼の事は信じていますよ」
「君が東條君のことを理解し切れていないように」
「私も、彼の本質をまだ見極められていません」
真意を見せず、煙に巻くような言い回しをする香川にどう言葉を返せば
良いのかを迷っている内に、東條が研究室に戻ってきたのだった。
「先生。今日の調査は終わりました」
「そうですか。では報告をお願いします」
ミラーワールドの探索から戻った東條がとある通路の見取り図らしき
物にマーカーで印をつけ始めるのを見ながら、香川英行は先日電話した
協力者達の事を思い出していた。
殺人事件被害者遺族の会という一定期間が過ぎると容疑者が判明しても
起訴できなくなる公訴時効制度の撤廃・停止を求めて結成された団体の
存在を香川に教えたのは仲村だった。
時効による時の経過と共に遺族の被害感情は薄れるという考え方を
否定し、時効の停止・廃止を国や世論に訴えていく事を目的としたこの
団体の会員となった遺族達が直面した現実はあまりにも残酷だった。
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