224:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/28(金) 22:41:09.94 ID:xchiMuX50
「親父、俺はもうアンタには会えないかも知れない」
「俺も俺で、命懸けで戦わなきゃいけないところまで追い込まれてるんだ」
「だから、最後にこうやって話せて良かったよ」
離すまいと握りしめたその手をゆっくりと離した満は椅子から立ち上がり
父に背を向けて歩き出した。
もう、ここに戻ってくる事はないだろう。
覚悟を決めて、一歩前に踏み出す。
「み、つ、る....」
「....」
「がんばれ....」
「.....」
「親父。もう少しだけ悪さしてから俺もそっちに行くから」
最後に一度だけ振り返った満は、何かを掴むように伸ばされた父の腕を
一瞥した後、病室から出て行った。
「満様...」
「佐藤さん。親父の遺言がどうか分からないけどさ」
「俺、親父の会社には一切関わらないから」
「親父が裸一貫で自分の会社をデカくしたように」
「俺も、俺の力で何かを手に入れてみたくなったから」
深々と頭を下げた佐藤にそう言い残した満はエレベーターに乗り込んだ。
誰もいないエレベーターが一階に辿りつくまでの間、満はつかの間の
孤独を甘受していた。
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