2:名無しNIPPER[sage saga]
2017/04/23(日) 23:52:08.70 ID:p+cBhhHk0
第一部 一話 戦いの始まり
東京 某所
「はぁーあ、今日もまたコンビニ弁当かぁ...」
ビルの警備員の夜勤のバイトを終えた一人の青年が眠い目を擦りながら
タイムカードを押し、職場から退勤する。
「ったく、人生の選択肢ってのはやり直しが利かないから嫌だね〜」
雲一つない爽快な朝に似つかわしくない独り言を呟きながら、とぼとぼと
ボロアパートへの道を歩くのは、佐野満という成年だった。
彼は自分の事を、人より特別優れたことはない凡庸な人間であると自認
していた。何かにつけて楽をして良い暮らしをしたいどこにでもいそうな、
一言で言えば全てが並の、ただ幸せになりたかっただけの男である。
「いらっしゃいませ〜!」
近くにあったコンビニへとふらりと足を運ぶ。
このコンビニは満のお気に入りだった。
台風の日も、大雨の日も、近くで強盗殺人事件が起きても決まった日には
必ずお気に入りの週刊少年漫画雑誌を入荷して、陳列しているからだ。
眠い目を擦りながら、ペラペラとページをめくる。
(おっ...なんだよ、また次回に引き延ばしかよ〜)
漫画の半分を読み進めた辺りからだろうか?
なにか微かな音が聞こえてきた。
キィィィィ....ン、キィィィィ....ン。と、途切れ途切れの金属に
なにか振動するものを置いて震わせるような音は徐々に弱まっていった。
(気のせいかな...まぁいいや。早く帰って寝よう)
バサッ。
雑誌を下に置いた満は先程の音を頭の中から閉め出し、チキンカツ
弁当とカップ味噌汁を購入した後、コンビニを後にしたのだった。
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