111:名無しNIPPER[saga]
2017/06/15(木) 01:25:28.19 ID:qNL29ZGy0
もう、いいです。そう言って振り返らず、そのまま歩み始めた大井さんの後ろ姿を、記憶の狭間から何度も呼び起こす。
風鈴の冷たい音色が執務室に響き渡る。透き通る音色に私は突っ伏していた机から顔を上げる。
誰もいない執務室。鎮守府の午後だ。
あれから1ヶ月たった。涼しさを含んでいた風は、今ではねっとりとしていて、皮膚にまとわりつくようになった。
そして風鈴の音色に微かに混ざる賑やかな声達。
これだから夏は嫌いなんだ。なんだか私だけ除け者にされているみたいで。
私だけ季節に取り残されているみたいで。すごく嫌だ。
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