108:名無しNIPPER[saga]
2017/05/22(月) 00:32:54.28 ID:c4JYKnfD0
私はそんな大井さんの本心を無下にしようとしている。
気持ちは一緒なのに。本当は舞い上がってしまうほど嬉しいのに。秘密にした過去に蝕まれ、気持ちに応える資格がないと思っている。
あぁクソ。何だって私は愚かなんだ。
想い人を死に追いやろうとした真実を暴露し、拒絶されるのが怖い。
だったら最初からあんな作戦なんか計画するんじゃなかった。
でもそれは結果論だ。あの時一番強かった大井さんが敵を道連れ覚悟で出撃しなければ、今この時すら存在しなかったんだから。
それに結果論で締め括るなら大井さんは今こうやって生きている。なら難しいことなんてかなぐり捨てて、もう忘れてもいいじゃないか。
だから大井さんを捕まえても、ぐちゃぐちゃな考えのせいで、言わなくちゃいけない言葉ががんじがらめになる。私が捲したてる言葉は単なる喚き声にしかならない。
私の意味のわからない言い訳を聞いても、大井さんは振り返らない。
だからどんな表情をしているのかわからない。泣いているのかもしれないし、想い人がこんなにも情けのない奴の知って、落胆し、無表情かもしれない。
大井「.....もう、いいです」
この一言が、何よりも辛く心に響いた。
そして私は、これで大井さんを本当に掴みそこねたのだと知った。
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