50: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/04/20(木) 01:20:11.93 ID:RzQS9TXiO
「元帥殿、殺害は僕に任せていただけないでしょうか?」
「__君…だが、君のような若者に手を汚させる訳には…。」
「僕だからこそですよ。
元帥、お言葉ですがあなたはお年を召されている…もし激しい抵抗があった際、何よりあなたの身に危険が及びます。」
「確かに、老いには勝てん節もある…しかし…。」
「あなたの代わりはいませんが…この中では若輩な僕の代わりなど、いくらでもいます。
今ここであなたに命を落とされては、それこそ戦況が傾きかねない。
僕は皆様と比べても、まだまだ経験が浅い。そして、これから士官となる若者は沢山います。
危険であるからこそ、ここは任せていただけないでしょうか?」
視線が交わる。
元帥は射抜くような目を青年に向け、その内側を探っていた。
青年はいつもの微笑を携えているが、その薄目の奥にあったものを確かめ、元帥は溜息を一つついた。
「……わかった。そこまで言うのならば、殺害は君に任せよう。
我々一同は、__君を全力で支援する。
……だが、__君。」
直後、青年の体が弾き飛ばされた。
元帥の拳が、彼の頬を射抜いたのだ。
「命を粗末にするのはいただけんな…今回は折れるが、君の代わりもいないのだ。
今は分からんかもしれんが、年寄りの小言、忘れてくれるなよ?やるならば、必ず生き残れ。」
帰りの車中、青年は自らの運転で高速を駆ける。
車内には彼一人。鳴り響く声は、カーステレオからの音楽のみ。
もう何度聴いたか分からない曲に耳を澄ませながら。
青年は、不気味に微笑んでいた。
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