448: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/04/24(火) 23:15:27.65 ID:N/tx/y3kO
感情の喪失に冒されていた時期、その実彼は、無意識下では希死念慮に囚われていた。
天国と呼んでいた、臨死の世界に行く為に見出した条件。
全力で戦う末、殺される事。
それは生き残ってしまった故の、自死では拭いきれぬ罪悪感の表れだったのかもしれない。
その一方で、著しい良心の欠落にも彼は呑み込まれていた。
殺しても良い人間として悪人を選び、元帥を言葉でねじ伏せてでもその機会を得た。
男と、かつての恋人を撃ち殺した時の感覚の差。
彼の手には、その時の引き金の感触の違いが強く残っていた。
男の時は、躊躇いなど何一つ無かった。どこかで楽しんですらいた。
虫を殺す様な呆気の無さに、失望さえ覚えていた。
感情を取り戻し、失っていた間の記憶の水面下にあった様々なものは。
まるで遅効性の毒のように、平和を得た今も彼の側から離れずにいる。
それは、一抹の不安と共に。
557Res/457.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20