436: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/04/10(火) 22:43:57.50 ID:Lc80g2O1O
「お姉ちゃん…動いちゃダメよ!!」
「お願い…どいて……一人で、立てるわ…。」
血の跡を引きずりながら、壁の方へ這いずって。
無理矢理立ち上がった彼女は、ジュンの方へその視線を向けました。
「はぁ…はぁ……これで、狙えるわね…。
____ジュン、私を殺して。」
「……………。」
ジュンは何も言わず、拳銃を扶桑さんへ向けました。
変わらない冷徹な目……でもその銃口は、震えていて。
「……ままならないもんだな、人生って奴は。
まさか君を、こうして殺す事になるなんて。」
「ふふ…本当ね。最近ね、ちょっした夢があったの。」
「……教えてくれよ。」
「いつかあなたと青葉ちゃんが結婚したら…結婚式に行って。投げたブーケを、私が受け取るの。
それで私も、自分の時計を進めるんだって…そんな事を考えていたわ。」
「………罪な奴だな、これから君を殺すのに。」
「ふふ…そうね。もう一つ、イタズラしてもいいかしら?
最期はこんな結末だったけれど…
___私、あなたに出会えて本当に幸せだったわ。
青葉ちゃん、この人をよろしくね。」
「…………はい!!」
「アヤメ…これからは私がいなくても大丈夫?」
「大丈夫じゃないわよ…でも……大丈夫よ!
お姉ちゃん……大好きよ!ずっとずっと、私のお姉ちゃんだから!
どんなになっても、私はお姉ちゃんの妹!それは絶対変わらないから!!」
「……ありがとう。
ごふっ!?……時間が、無いわね…。ジュン…お願い…。」
「ジュン……。」
「ふー……。」
深く息を吐いて、銃口がぴたりと止まって。
その瞬間、彼の迷いが吹っ切れた事が見て取れたのでした。
……叔父さんの時の私も、そうでしたから。
557Res/457.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20