432: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/04/10(火) 22:38:30.00 ID:Lc80g2O1O
ぼたぼたと、床に血がこぼれて行く。
それは私のものでも、ジュンのものでも無く…
「が…はっ!?」
「“お姉ちゃん”…私を忘れてもらっては困るわ…。」
そう睨みつける赤い瞳には、明確な殺意が浮かんでいて。そこに迷いは無かった。
扶桑さんの脇腹を抉り取っていたのは、山城ちゃんの砲撃だったのです。
「アヤ、メ……。」
「姉妹だもの…どちらかが道を踏み外したなら、それは止めなくちゃ…。
青葉ちゃん、私もうちの提督から聞いたわ。深海棲艦の正体も…例え鹵獲しても、元に戻す事は出来ない事もね。」
「………!?ジュン…。」
「……ああ、本当さ。
何度か人間の比率が高い個体を生体実験に掛けたが…人に戻す事は、出来なかったそうだ。」
「ふふふ…不幸だわ。とことんツキには見放されてるみたいね。
もう戻れないなら…袂を別つしかないなら……私が殺す!」
「………そんなに、簡単には…やられないわ…!!」
「山城ちゃん!!」
分裂体が、山城ちゃんへと向かって行く。
ですがそれは、本当に一瞬のことでした。
『ぐちゅ……。』
頭から踏み潰された分裂体は、その肉を床に広げていました。
ビクビクと暴れていた小さな体も、やがて動かなくなって。
「…あ………嫌ああああああああああああああああっっっ!!!!!」
扶桑さんの悲鳴が、この部屋を覆い尽くしたのです。
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