421: ◆FlW2v5zETA[saga]
2018/03/20(火) 00:15:50.01 ID:EjyKetk5O
時が止まったような、現実味の無い瞬間でした。
全てがはりぼての、どうしようもないぐらい生々しくない世界。
でもそう見えていたのは、きっと私の脳が拒絶したから。
「……痛っ!?」
「へぇ…深海棲艦でも、噛まれたら痛いんだな。」
そのはりぼてを壊したのは、他でも無いジュンでした。
唇を噛み、無理矢理彼女を引き離す事で。
見た事の無い冷たい目を、まっすぐにあの人へと向けて。
「……ふふ、ずっとこうしたかったの…。
何年も…何年も何年も何年も!!ずっとずっと待ち望んでいたわ!!」
「……こんな事の為に、人までやめちまったのか。」
「ジュン……私と一緒に、海の底へ沈みましょう?」
「聞く耳持たずね…俺の命と引き換えに二人を助けてくれるんなら、考えてやる。」
その言葉が聞こえた時。
ダメだなんて思う前に、手が動いていました。
どう分裂体を振り払ったのかも、引き金の感触や砲撃の反動さえも無い。
ただ事実としてあったのは、私の弾が彼女の肉を抉った音。
ジュンを掴む片腕を、ちぎり飛ばす形で。
557Res/457.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20