277: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/12/15(金) 12:39:04.02 ID:el1IHlhwO
「………すごいねぇ。ここ、こんなに見えるんだ。」
岩に登ると、今まで見た事もないぐらいの夕焼けが目の前に広がっていました。
真っ赤だなぁ…しばらく一眼を取り出すのも忘れるぐらい、その光景に見惚れていたものでした。
「今年一番だな。今日はついてるよ。」
「そうなの?」
「ああ、いつも以上の夕暮れだ。」
「ふふ…ラッキーだね!」
「全くだ、生きててよかったよ。」
隣同士で座って、私は彼に寄りかかって。
この光景をそんな風に見れて、その言葉を聞けた。
少し前までは、叶わないと思っていた事が現実になった瞬間でした。
天国と例えるなら、あの曇り空の寂しい日じゃなくて、きっと今日みたいな日を言うのでしょう。
夢みたいだなぁ…でもこれ、現実なんだ。
「あーかーいーゆうひをーあーびてー…♪」
子供の頃以来に聴き返して、大好きになった歌があります。
それは、楽園と言う曲。
「まさに今日の歌だな。」
「ふふ、ほんとにね。
ねぇ、ジュン。色々あったけどさ…」
色々な事がありました。これからもたくさん、辛い事もあるでしょう。
愛と勇気と絶望を、この両手いっぱいに。よく言ったものです。
それでも。
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