262: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/11/27(月) 06:34:52.45 ID:3Y4cAnbMO
“………まさかこんな奴でも、そう言ってもらえるなんてな。”
あの子に少しでも多くの幸せを。
今の彼が一番に願うのは、その事だった。
その為にこそ、今の戦いに勝つ。
そのきっかけは個人的なものだが、それは彼自身の過去に打ち勝つ為にも、仲間や人々の為にもなる。
「僕は弱さの真ん中じゃ、命は散らせない…ってな。」
そう好きな歌の一節を口ずさみ、彼は布団を被った。
この短い期間に、様々な事が起きた。
それらに苦しむ時もあるが、『あの子と生きたい』、その願いが彼を生かしているのは紛れも無い事実だった。
携帯を手に取り、ある画像を開く。
そこにはいつか二人で撮った写真があった。
彼が愛して止まぬ、満面の笑みを浮かべた彼女の姿が。
「おやすみ……“マリ”。」
二人きりの時しか呼ばない、彼女の本当の名前。
優しい声でその名を呟き、彼は眠りへと落ちて行った。
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