青葉「けしの花びら、さえずるひばり。」
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250: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/11/16(木) 03:59:52.47 ID:j4j5Io3UO
休暇の2日目、朝の9時。

事件の発覚は、当日の早朝だった。
女が朝食を摂りに入った現地の食堂は、報道されるよりも前にその話が入っていた。

「さっき県境で死体が出たんだってねぇ。」

「4丁目の田中さんが見付けちゃったみたいよ。あの人腰抜かして運ばれたらしいわ。」

「怖いわねぇ。」

パートの主婦達の会話もよそに、彼女は興味無さげに朝食を食べていた。

その内心は、誰も知る事は無かったが。


同日、14時。

女はとある家に辿り着くと、キーケースを取り出した。
鍵を開けると飾り気の無い玄関があり、何足か置かれた靴は全て男性のもの。

彼女は前日はスーパー銭湯で風呂と仮眠を取り、この日急行を乗り継いでやってきた。
宿やバスと言った、予約として本名の記載が必要な手段を避けるためだ。

家に入ると冷蔵庫を開け、彼女は何やら品定めをしている様子。
スマートフォンのメモ帳に書き込みをし、女は再びその家を後にした。

「おや、__ちゃんじゃないか。帰ってきたのかね。」

「佐藤のおじいちゃん!そうなの、休暇をもらったから。」

「それはそれは、ゆっくりしておいきよ。お父さんもきっと喜ぶよ。」

「うん!これからスーパーにお買い物行くの!久々に何か作ってあげようってね。」

そうして迷わずスーパーへ向かい、彼女は難無く買い物を済ませた。
何故ならこの町は、現在の実家がある町なのだから。

食材を冷蔵庫に入れ、かつての自室にあるクローゼットからジャージを取り出すと、それに袖を通す。
箒を手に庭に出てみると、落ち葉がかなり積もっていた。
それを掃いて山を作り、彼女は一度台所に戻る。おやつにしようと買っておいたサツマイモを、アルミホイルで包むためだ。
彼女はサツマイモをビニールに入れ、再び庭へと出た。

だがその手には、もう一つビニールが握られている。




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