青葉「けしの花びら、さえずるひばり。」
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226: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/10/24(火) 09:10:06.38 ID:Kt2bVsaf0

「ガサ…?」


思わずは呼んでしまったあだ名は、「どうしたの?」ではなく、「誰なの?」と言う意味で発したもので。
そう思ってしまうぐらい、その時の彼女は別人に見えました。

細い指が、頬に触れて。
私を見つめてくる目は、まるで蛇のようで。

睨まれたカエルのように、体が固まって。


「ふふ…冗談だよ!じょーだん!あ、明日早いんだった、今日は戻るね!」

「う、うん!またね…。」


そうしてそそくさと、彼女は部屋に戻ってしまいました。
まるでさっきの表情なんて無かったみたいに、いつも通りの笑顔で。

何だろう、すごい怖かったなあ……気のせいかな。




『ぱたん…。』


自室の扉を閉めると、彼女はふう、と深く息を吐く。
その後に続くのは、堰を切ったように溢れ出す、浅い息切れだった。

二人の部屋の間は走るような距離ではなく、疲労ではない。
ましてや秋の今、暑さに悶えるような季節でもない。

彼女が息を切らしていた理由は…。

“あっぶなー…あんなかわいい顔されたら、理性飛んじゃうとこだったよ…。
ふふ、でも天国かあ……あの曲みたいに、怖いとこじゃないんだ。アレはもっと…。”

不意に彼女の脳裏を過るのは、とある記憶。

赤いバスタブと、人のぬくもり。そして心地よい静寂。
それらを思い出すと、彼女の全身をぞくりとした衝動が駆け抜けていく。


“あーあ、奴らで満足しよって思ってたのに、久々にムラムラしてきちゃったなあ…だめだめ、もう大人にならなきゃ。”


指に残る、肌と髪の感触。近付いた時に感じた香り。
先ほど感じたものを思い出すと。

“あの子の味、するかな…?”

立てた人差し指に舌を這わせ、彼女は恍惚とした笑みを浮かべていた。




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