青葉「けしの花びら、さえずるひばり。」
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222: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/10/20(金) 06:14:50.60 ID:Qp53TVB4O

一日の任務も終えて、部屋に着いてばったり。
今日は久々に開発の手伝いに行かされてたけど、慣れない事は疲れますねぇ。

それでテレビでも観ようと、何となくリモコンを手に取ったんです。
ん?あ、そうだ!__からDVD借りてたんだ!

それはあのバンドのライブ映像でオススメない?って聞いて、じゃあこれをと貸してくれたもの。
ディスクを入れて、いざ再生!となった所で、ノックの音が。

「ん?ガサー?」

「あれ?青葉何観てるの?」

「司令官から借りたんだー、せっかくだし一緒に観る?」

「じゃあお言葉に甘えて。」

それで始まった映像に、青葉は息を呑んでいました。
映像越しでも伝わってくる気迫…しばらく言葉も出せず、ただ飲み込まれるままに途中まで観ていました。

“このイントロ…”

それで映像も中盤に入った頃でした。あの曲が流れて来たのは。
生の、その瞬間の気持ちで放たれた音だからでしょうか。今まで聴いてきたあの曲以上に、青葉はその世界に飲み込まれていました。

ふと横を見ると、ガサも引き込まれてしまったのか、彼女らしくもない放心した顔をしていて。
それは浅くはない付き合いの中でも、初めて見る顔です。

最後のピアノが鳴り響いて…次の曲が始まっても、余韻のせいかどこかぼんやりしてしまって。そんな時です、ガサから声が掛かったのは。

「ごめん青葉、ちょっと休憩。部屋に飲み物置いてきちゃった。」

「あ……う、うん!」

一旦DVDを止めてしばらく待っていると、ガサが戻ってきました。
何だろう、何かいつもと雰囲気が違う…ガサは元いた場所に座ると、ペットボトルの麦茶をぐっと飲み込んで。

「ねえ、青葉……。」

そしてふう、と一息つくと、こう言いました。


「……天国って、見た事ある?」


いつかの彼と同じ、ゾッとするような透き通った目の笑顔と共に。





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