126: ◆FlW2v5zETA[saga]
2017/05/18(木) 02:59:21.42 ID:3OWGQWfYO
激しい悪寒が背筋を抜けてく。
目をそらせない。
ただただ、じっと青葉を見つめてくる目は吸い込まれそうで。
にたりと笑う顔は、一瞬誰かすらわからなくなりそうで。
怖いって、明確に感情の正体が理解できて。
「冗談だよ。」
そう耳元でささやく声は、今までで一番優しい声で。
その瞬間。ふっ、と、青葉の体は力を失ったのでした。
「……ほんと、ですよね?」
「ああ。」
なだめるように、また髪に手が触れて。
でも青葉の意識は、下げられた方の手に向かっていました。
震えてる…?
「…僕は先に帰るよ。今日は冷えそうだ、青葉も早めに帰るようにね。」
「あ……はい…。」
そのまま彼は、駐車場へ向けて歩いて行ってしまいました。
そして姿が見えなくなった瞬間、青葉はその場にへたり込んでしまったのです。
辺りは夕凪の無音で、心臓の音が嫌に生々しくて。
それは何だか、世界にひとりぼっちにされたような。そんな感覚を青葉に与えていたのでした。
__さん…俺に深入りするなって、脅してるんですか?
恐怖感と言う壁を彼に張ってしまった後悔と、突き放されたような感覚とで、頭の中はグチャグチャで。
さっきまでのドロドロとした感情でさえ、どこかに行ってしまって。
青葉はただ、呆然と夕日を眺めていたのでした。
ああ、目に沁みるなぁ…。
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