八幡「ゲームが完成しそうだからすぐこい?」 ルナ「ルナのゲームだよ」
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55: ◆SqZQSXA.b2[saga]
2017/06/26(月) 02:05:50.21 ID:i6HsbYw+0
ユニコ「ぁ…ッ.くっ…」

彼女は嗚咽を漏らし,両目を塞いでその惨状を覆いかくしてしまった.

俺は彼女の肩をゆすり,強い口調で尋ねる.

八幡「おい,アイツに関してなにか知っているのか.つーか…」

ファイターは死んだのか?つい昨日会って,話したというのに.言いしれぬ恐怖が全身を襲う.

八幡「はやく…はやく医者を呼ばなきゃならない.ユニコ,お前にしかできないんだ,行ってくれ」

俺は返り道や診療所を完全に覚えたわけではないし,彼女が適任だろう.

しかし,ユニコが躰をびくりと震わせて,こう答えた.

ユニコ「む,村人たちは,助けられません.ファイターは,村八分にされたから」

それを聞いて思わず,歯噛みした.

八幡「そうかよ.事情は知らないし,なら俺とお前で応急手当てをするぞ」

ユニコ「ユニコは,それを,してはいけません.ユニコは,村の掟を守ります」

くそったれ.思わず舌打ちをしてから,全力で頭を総動員する.

村人はあてにならない.俺は医療のイも知らないど素人である.

残るやつといえば…あてになる従者がいるじゃないか,

八幡「分かったよ.なら,宿にいる天剣の乙女を呼んでくれ.

アイツに『俺が助けを求めている』と言ってくれれば,飛んでくるから」

ユニコ「それは」

八幡「お前,ファイターに死んでほしいのか.村八分にしたら,アイツの全てが憎いのか?」

ユニコ「」

何も答えず,ユニコは涙を浮かべて,俺を見る.

それは許しを乞うているようで,仲間はずれにしたのは自分ではないとでも言いたげだった.

無残なファイターの姿が過去の俺と重なった瞬間,怒気が頂点に達した.

八幡「行けよっ.いかなきゃ,俺がお前を殺すぞ!」

ユニコは泣きながら,よろめくように立ち上がった.

そして,手元で涙をぬぐいながら走り去った.

それを見届けてから,俺はファイターへ走り寄った.

彼の身体を見て,改めて怒りと諦めがこめかみを通り抜ける.

数えきれないほどの打撲痕と深い裂傷が,全身に病魔のごとく広がっていた.

俺は,その中で出血の激しい部分を見つけて,自身のハンカチで押さえつける.

天剣の乙女が来るまで,自分ができることなんてその程度だった.

誰かを助けるために,カードなんて,なんの意味も持たなかった.



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