八幡「ゲームが完成しそうだからすぐこい?」 ルナ「ルナのゲームだよ」
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◆SqZQSXA.b2
[saga]
2017/06/17(土) 18:59:40.04 ID:N1V/bxOn0
カーテンの隙間から差し込む光によって,脳が強制的に活性する.
八幡(そうだ,あれから寝てしまったのか)
自分の上に掛けられている布団はみるからに安物で,薄汚れた生地はざらついて,重かった.
やっとのことで布団から這い出て,部屋中央に置かれた机の前に立つ.
その上には,簡素な食事と藁半紙が置かれていた
半紙には,見事な墨痕でこう書かれている.
『主,外出無用,出るな』
元から,どこかへ移動する気はなかったのだが,強制されると話は変わる.
これを書いたのは,恐らく天剣の乙女なのだろうが,何の目的で?
皿に載せられていた,掌サイズのパンを一つ齧る.
それは口の中で水分を一瞬で奪い,喉へ殺到した.
咳をしても,一人.
八幡「これを書いたアイツは,どこへ行った」
言葉は.空気をただ揺らすのみ.
そして部屋の片隅に,鎧一式が綺麗に置かれていることにようやく気づいた..
部屋を出て,人気のない廊下を通る.
同時に,徐々に虫共が一斉にざわめいている様な雑音が聞こえてくる.
一見,梯子にも思える階段を苦労して降りると,その正体が分かった.
金色の髪を華麗に躍らせながら,鉄の仏頂面をしたメイドが嵐のような注文を捌いていたのだ.お客は注文を終えると,その白いひらひらの付いたスカートが
花びらよりも柔らかく舞うのをただ眺めている.
まるでここは,彼女のためにあつらえた劇場だ.
観客は小出しに注文することで,彼女の流麗な踊りを見ることができる.
一つ問題があるとすれば,その注文をいちいち受け取る彼女がひどく不機嫌であることだが.
八幡「これが,代償か」
とりあえず見なかったことにした.
一瞬見惚れてしまったが,それは男の性というもので決して抗えないものだ
いそいそと部屋へ戻る途中,陽乃さんに見せられた写真を思い出す.
この世界は本当に,美少女ゲームのそれを模倣したのかもしれない.
非常に,厄介だと思った.陽乃さんが見ているかもしれない世界で,鼻を伸ばす気はなかった.
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