八幡「ゲームが完成しそうだからすぐこい?」 ルナ「ルナのゲームだよ」
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◆SqZQSXA.b2
[saga]
2017/05/23(火) 03:22:29.10 ID:IH2qW8lU0
柵まであと数メートルといったところで鋭い制止の声があがった.
?「止まれ,そこの二人.お前たちの素性と,目的を言え」
天剣の乙女は足を止めて,物見やぐらを見上げる.
天剣の乙女「背中の男は,私のあるじだ.私はあるじに仕えていて,今は護衛をしている,
だが,あるじが,旅の疲れで動けなくなってしまった.
なので今晩,お前たちの村で泊めてほしい」
しかし,物見やぐらにいるであろう男は,彼女の要求を無視した.
?「お前たちは,カミの森からやって来たのか?」
天剣の乙女「カミの森かどうかは分からないが,背後の森を通ってきたことは間違いない」
?「そこで何を見た?」
天剣の乙女は,目線を一瞬俺に向けた.
俺は,彼女にしか分からない程度に頷いた.
嘘には,指向性を持たせなければならない.
今は,どの返答が良いのかも,分かっていなかった.
天剣の乙女「兎の,霊を見た」
?「そうか,跡継ぎは順調に成長しているんだな」
男は言葉とは裏腹に,口惜し気に言った.
?「教えてくれて,有難う.今,柵を開けてやるから,待っていろ」
男は物見やぐらから,梯子をつたって降り,腰に差した剣を揺らしながらやってきた.
柵の前で立ち止まった男は,こちらに笑いかけた.
ファイター「そういえば,名前を言ってなかったな.俺の通り名は,ファイター.この村の,しがない守り人だ」
天剣の乙女「私は,天剣の乙女.本来は神に捧げたこの身だが,今はあるじのものだ」
くっころとでも言いたげに,彼女は顔を背ける.
おんぶしているから恥ずかしいのだろうが
されている奴の方が何倍も恥ずかしいんだぞ.
頬の紅潮が,闇に紛れることを願いつつ,自己紹介をする.
八幡「俺はヒッキーだ」
ファイターは,心底意外そうに言った.
「いい通り名だな」
この世界だと,ヒッキーという通り名は人気のようだ.
その時のラビットさんを思い出すと,心臓がきゅっと締め付けられた気がした.
それでも歯を食いしばって,精いっぱいの苦笑いをつくる.
そんな自分に吐き気を催すのは,もう慣れてしまった.
それにしても,なんで無理に笑ってんだ俺.
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