永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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648:名無しNIPPER[saga]
2018/12/24(月) 01:42:52.63 ID:A1WvWOlK0


薬売り「いやぁ、実は……ずっとこの時を、今か今かと待ち侘びておりまして」

薬売り「いえね……貴方の事じゃあございません。それもあると言えばあるのですが……しかし」

薬売り「どうにもこうにも、抑え難きものです…………この”腹の虫”と言う奴は」



【サシキリ】



薬売り「夜通しずっと、食事を摂る暇など、ありはしませんでしたからね……」

薬売り「それに…………目の前であれ程”旨い旨い”と連呼されては、さらにその欲求は高まるばかりで」


 そう言うと薬売りはそっと立ち上がり、一歩・一歩と足を進め始めた。
 この張り詰めた空気と反するような緩やかな歩は、まるでただ一人颶風の外にいるかのようである。
 しかしその比喩はあながち間違いでもない。
 颶風には、本当に存在するのだ――――荒れ狂いし風雨にぽっかり空いた、”空白の目”が。


薬売り「折角、ご用意致しましたのに……いらぬと言うなら仕方がない」

薬売り「ならばお先に……失礼してしまいましょうかね」


 吹きすさぶ嵐・乱れ降る豪雨・崩れ行く大地・溢るる河川。
 人々にとっては大きなる厄災であり、しかし一方では、迎えるべき恩恵の側面もある。
 この相反する二つの心情が同時に起こるが故に、人々は得てして心を擦り減らす。
 しかしながら、そんな疲弊しきった心に、そっと「一時の休息」が訪れたなら……人々は一体何をするであろうか。



【ツケ】



 そう――――癒すのだ。
 今この空腹を満たさんとしている、薬売りのように。




薬売り「では…………”いただきます”」



https://i.imgur.com/aoDuC0K.jpg




 そうして薬売りは、堂々と手を伸ばし、食ろうた――――【蓬莱の薬】と印された、壺の中身を。



https://i.imgur.com/TrFrViS.jpg




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