永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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名無しNIPPER
[saga]
2017/12/10(日) 22:31:25.68 ID:U8yEZtnF0
薬売り「しかし……肝心の兎がいなかった。両者は手を結ぶ事ができた代わりに、当の兎は孤独になっていった」
兎「そう……やっとの思いで船を完成させた時。兎はもう、”島の住人じゃなくなっていた”」
手渡される事のなかった船は、それでも大事に扱われ続けた。
いつか兎に、秘めた思いを伝える為に……
――――そこで連中は話合い、まずは船の保管場所を決めた。
兎を含めた全ての島民が知る、共通の場所。
そこは、「かつて兎と酔いしれたあの場所が相応しいだろう」と、満場一致の決議がなされた。
薬売り「それが……”ここ”」
兎「そう……”ここ”」
後に誰かの提案で、この場所を示す目印が建てられた。
帰って来た兎がすぐに気づけるように。
天にも届きそうな程の、高い高い目印を建てた。
さらに後に、これまた誰かの提案で、雨風に晒されぬ保管用の倉庫までもが建てられた。
時と共に朽ちてしまわぬように。
いつか渡す時まで、守り切れるように。
――――さらにさらにその後。
誰かの悪ノリをキッカケに、周囲ははあれやこれやと過剰な装飾で飾られていった。
やれ石像だの、やれ縄だの、旗だの、布だの、箱だの……
本来必要としなかった物が、次々と足されていった。
兎「そうやって思いつくままに手を加えながら、何日も何日も待ち続けた――――何か月も、何年も」
結果、ただの高台だったはずのその場所は、明らかに元の形から離れていった。
家でもなく倉でもなく、休憩所にしては無駄に豪勢だし、宿に使うならちと狭い。
そうやって気がつけば……元の目的からすらも大きく外れる、用途不明の建築物と化していたんだ。
薬売り「言い換えれば……”時と共に成長していった”」
そう……島の生き物達はずっと待ち続けたのよさ。
健やかに育ちながら……全ては”来るべき時の為に”。
毎日兎が訪れた、あの虹の架かる高台へとね。
【思做】
薬売り「それでも兎は来なかった……何故ならば、”とおの昔に旅立った後だったから”」
兎「そんな事なんて知る由もなかった……”兎が全てを忘れてしまっている事なんて”」
そうして、何もかもを知る事のないままに――――ついには全員、逝ってしまった。
【未達】
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