永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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名無しNIPPER
[saga]
2017/12/04(月) 00:08:48.63 ID:u3ex58150
てゐ「夜明け……そう、あたしの旅は、まさに夜明けだった」
てゐ「後に日出国と呼ばれるようになる世界を……あたしは、縦横無尽に駆け巡った」
――――外の世界は、本当に知らないことだらけだった。
毒キノコを食べて腹を壊したり、底なし沼にハマって溺れかけたり、家畜と間違えられて食われそうになったり……
その他色々、何度も何度も、数えきれないくらいのヘマをやらかした。
そしてその度に学んでいった……
空っぽだったあたしの頭に、着実に「知」が積み上げられていった。
てゐ「高みへ昇っている気がした……まるで、日の出のように」
そんな日々を繰り返していたせいか……
いつの間にやら、人間の間でちょっとした有名人になっててね。
人間は、会うたびに必ず一つ尋ねて来た。
「兎や兎、何故にそこまで苦難を駆ける?」
その問に対する返答は、いつも決まっていた。
「不幸とはすなわち代償。遥かなる高みへ昇る為の、言わば等価のような物に過ぎぬのです」。
人間は、えらく関心してたわ。
あたしの言葉によっぽど感銘を受けたのか、こっちが引くくらいあたしを讃えてきた。
でもそれって、ちょっとおかしくない?
要は「目標を達成するには多少の困難は付き物でしょ」って言いたかったんだけど、そんなの当たり前じゃん。
兎より遥かに賢いはずの人間が、そんな事すら知らないとは、到底思えなかった。
てゐ「今思うと……”やっぱり人間の方が正しかった”」
不自然に讃えてくる人間を尻目に、あたしは旅を続けた。
道中の出来事は相も変わらず。行く先々でなんか起こって、その度に命からがら助かった。
そうやって繰り返した――――何年、何十年、何百年と。
ずっとずっと、同じ事を繰り返した。
同じ事を繰り返して、その中で学んで……
気づいたら、そんじょそこらの人間顔負けの、物知り兎になってたわけ。
てゐ「気づかぬうちに、地面が見えないくらいの高みに辿り着いてた……努力の成果がやっとこさ現れたんだって、そう思った」
先が見えた気がした……
いつか目指したあの高みが、ようやっと手の届く範囲まで来たんだって、そう信じてた。
てゐ「それでも、新たな災厄は――――あたしが昇る以上の速さで、次から次へと振って来た」
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