永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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416:名無しNIPPER[saga]
2017/11/28(火) 03:52:06.12 ID:ZInpvyTS0


てゐ「同情はいらない。その言葉はすでに聞き飽きたから――――」


てゐ「慰めもいらない。自分が惨めになるだけだから――――」


 あいや、失礼した……全く、最後の最後でえらい物を見せられたわい。
 こんないと大きなる傷を抱えて、よくぞまぁ今の今まで過ごせたものよ。
 同情は聞き飽きたとは言うがな……
 そりゃそんな傷を目の当たりにすれば嫌でも見入ってしまうし、むしろ心配せぬ者などどこにもおらぬであろうて。


【刻印】


 しかし――――おかげで傷は、早くも一つの真を解いたな。
 ”何故に妖兎がこの地に辿り着いたか”。
 まず間違いなく、この傷が所以であろう。


薬売り「永遠亭の最初の客人は…………貴方だった?」

てゐ「逆よ薬売り。永遠亭を薬屋に変えたのは、他でもないこのあたし」

てゐ「どうせ帰る気がないのなら、そのまま地上の民になればいい――――”地上の薬売りとして”つってさ」


 やはりと言うか案の定と言うか、妖兎が語る理の片鱗は、いきなり亭の発祥を解いて見せた。
 薬売りすら敬う、名高き【薬師】八意永琳。
 その地位を与えしが、その実一羽の兎の「入れ知恵」だったとあらば……
 同じ薬売りとして、一体奴は何を思うのか。



退魔の剣「〜〜〜〜〜〜〜〜!」



 そんな、驚きを隠せない薬売りに同調するように、退魔の剣の震えも、人知れず激しく鳴っておった。
 妖兎と薬売りの掛け合いの裏で……退魔の剣の側からも、しかと見えておったのだろう。



(――――かごめ かごめ かごの なかの とりは)


(――――いつ いつ でやる)



 ひょっとしたら……剣も驚いておったのかもしれんな。
 薬売りから見て背。剣から見て銅。
 両側から見えるこの実に痛々しい傷が、妖兎の全身の余す所に点在しておったとあらば……




(いつ いつ でゃる……)




――――まるで瞼のように開く、この傷を。



https://i.imgur.com/CRP7Df0.jpg



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