永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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381:名無しNIPPER[saga]
2017/11/25(土) 22:02:32.48 ID:cTjbZ6OQ0


「ちょ、ほんとうまい! ヤバイヤバイ、マジ止まんないって!」


「こんな事なら皿持ってこればよかったわ――――”みんなにも”ちょっと分けてあげたいくらいよ!」


 口いっぱいに広がる旨味は、影本人も想定外だったのであろう。
 予期せぬ舌鼓に、最初の警戒も何のその。乱雑に鷲掴みにしたあげく、一心不乱に食し始めたのだ。
 ガツガツ、ボリボリ、ゴリゴリ……静寂であるはずの刻に食の音がなる。
 さながら腹をすかせた猛獣のように、食にありつくその姿は、まさに寅の如くである。 


「さすがお師匠様だわ……まさか、”食べれる薬”だったなんて」


「なんて、なんて画期的なアイデアなの!」


 影は、人知れず感動していた。
 伸ばす手が止まらぬ程に旨い薬。
 しかもその効能が、自身が長年追い求めていた”薬”だったとあらば、その感動はさらに倍増である。
 

「だめよあたし、耐えるのよ。これ以上はきっと、もう……」


「一つだけ! 後一つだけ…………やっぱ無理!」



 誰もがいなくなる寅の刻。
 妖すらも眠る闇夜に、ただ一つ、身を震わしながら食にありつく影が一つ。

 しかし影は、舌鼓にかまけすっかり忘れておった――――
 いくら旨かろうと、所詮薬は薬。
 薬を服用する事は、決して「食べる」とは言わない事を。





(ダメですよ……そんなにがっついちゃぁ……)



「――――ッ!?」





 そんな当たり前の忠告が、影の耳に届いた――――その時。





(薬は……用法、用量がキチンと決められているのですから……)





https://i.imgur.com/8PZnFNX.jpg





 「あんぎゃあ――――……」
 静寂は、絶叫にかき消された。




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