永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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263:名無しNIPPER[saga]
2017/05/14(日) 03:09:20.73 ID:O7KGhXGYo


レイセン「そうして兎は自分から穴に落ち、二度と這い上がってこれませんでした……」

レイセン「めでたし、めでたし……ってか?」

薬売り「おや……終わりですか?」

レイセン「何よ、なんか文句あんの?」


 かつて幾度となく陥れ、あまつさえ姫君にまで手を掛けた玉兎。
 その自身による行いが、八意永琳を一人の鬼へと変えようとは、さすがの玉兎も思ってもみなかったであろう。
 そして玉兎は逃げ出した……自分の目に入る、全てから。
 

薬売り「いえ……てっきり、”落ちた後”も続く物だと思っていましたので……」

レイセン「あー……後日譚? 別に言っても良いけど、死ぬほどくだらないわよ」


 その結果――――
 自身が最も恐れた”鬼”と再び会いまみる事となるとは、これまた因果なものよの。


薬売り「折角ですから……是非」

レイセン「まぁ、じゃあ……なんでこいつがこんな所で薬師見習いなんてやってるかなんだけど……」

レイセン「わかる?」

薬売り「はて……薬師の道を志したからでは?」

レイセン「違うわよ。本音はこう――――」


レイセン「――――”怖かったから”よ。鬼に目をつけられないようにね」


薬売り「ああ……なるほど」


 身共も似たような経験がある故な。その気持ちはよ〜くわかるぞ。 
 運無き者が出くわすと言う山の獣――――熊。
 あの巨体から生える、鋭い牙や桑のような爪ときたらそれはもう……

 いやはや、まっこと恐ろしや。
 一度睨まれれば、体の芯から硬直してしまうあの感覚。
 できるならば、もう二度と味わいたくないものよの。


レイセン「自分が過去にしでかした事が、バレるのが怖かった……あたしにとって、八意永琳は鬼でしかなかった」

レイセン「だから下ったの。師匠と仰いで従順な”フリ”さえしてれば、とりあえず矛先は向かないだろうってね」

薬売り「その場凌ぎ……ですね」


 そうそう熊と言えば、皆の衆にも是非知っておいて貰いたい事がある。
 誰が言ったか「熊と出会ったら死んだふりをするとよい」との教え。ありゃ嘘っぱちじゃ。
 熊の目の前で横たわったが最後。
 熊はおぬしらをエサと認知し、あわや食われる運命を辿るのである。


レイセン「ね? 下らないでしょ。NGシーンはバッサリカットよ」

レイセン「終わりよければ全てよし……の逆」

レイセン「クソみたいな終わり方すると、”全部が台無しになる”」


 では真に正しき対処法は何か――――それは「目を合わせる」事じゃ。
 目をそらさず、じっと見詰めながら、決して騒ぎ立てず、徐々〜に徐々〜にと後ずさる。
 こうすれば「拙者は危害を加える生き物ではござらんよ〜」と、熊にそう知らせる事ができるのじゃ。
 熊はああ見えて賢き獣。相手が無害とわかると、むやみに襲ってきたりはせぬのだよ。




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