永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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139:名無しNIPPER[saga]
2017/04/04(火) 22:58:34.51 ID:mAW1yNKRo


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 今は昔、竹取の翁といふ者有りけり。
 野山にまじりて、竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり。
 名をば讃岐造(さぬきのみやっこ)となむ言ひける。
 その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり。
 それを見れば、三寸ばかりなる人、いと美しうて居たり。


 翁言ふやう、『われ朝ごと夕ごとに見る竹の中におはするにて知りぬ。子になり給ふべき人なめり』とて手にうち入れて家へ持ちて来ぬ。妻の嫗に預けて養はす。
 美しきことかぎりなし。いと幼ければ籠(こ)に入れて養ふ。


 世界の男、あてなるも卑しきも、いかで、このかぐや姫を得てしかな、見てしかなと、音に聞きめでて惑ふ。
 そのあたりの垣にも、家の門にも、居る人だにたはやすく見るまじきものを、夜は安き寝も寝ず、闇の夜に出でても、穴をくじり、垣間見、惑ひ合へり。
 さる時よりなむ、『よばひ』とは言ひける。


 その中に、なほ言ひけるは、色好みと言はるる限り五人、思ひやむ時なく夜昼来ける。


 その名ども
 ・石作の皇子(いしつくりのみこ)
 ・庫持の皇子(くらもちのみこ)
 ・右大臣阿部御主人(あべのみうし)
 ・大納言大伴御行(おおとものみゆき)
 ・中納言石上麻呂足(いそのかみのまろたり)

 この人々なりけり。


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 この人々、ある時は、竹取を呼び出でて、『むすめを我に賜べ』と伏し拝み、手をすりのたまへど
『おのがなさぬ子なれば、心にも従はずなむある』と言ひて、月日過ぐす。


 かぐや姫、『石作の皇子には、仏の御石の鉢といふ物あり、それを取りて賜へ』と言ふ。
『庫持の皇子には、東の海に蓬莱(ほうらい)といふ山あるなり
 それに白銀を根とし、黄金を茎とし、白き珠を実として立てる木あり。それ一枝折りて賜はらむ』と言ふ。
『今一人には、唐土にある火鼠の皮衣を賜へ。
 大伴の大納言には、龍の首に五色に光る珠あり。それを取りて賜へ。
 石上の中納言には、燕の持たる子安の貝、取りて賜へ』と言ふ。





薬売り「これは……」





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