272: ◆Wv.nqe0Jy.[saga]
2017/04/07(金) 11:47:38.28 ID:zwNQlmJl0
… … …
「わぁああー!! すんごいなぁ!」
クッキー、マフィンにシフォンケーキ。ここで用意できた材料と器具、そしてアルパカさんが作れるレベルのお菓子です。
アルパカさんはクッキーを一枚口に運びます。
「おいしーなぁ」
「それはよかったです。……よかったですけど」
ほころぶ彼女の顔に、こちらも思わずうれしくなります。ですが、こっちは割とそれどころでない事態が発生していました。
「この小麦粉……。製造年月日が先週になってるんですよね」
使い切った小麦粉の袋に印字されている文字は、間違いなく先週の日付。それだけではありません。
「これは牛乳風豆乳。こっちの乾燥卵は植物性……。しかもまだ新しいなんて……」
これらはキッチンの戸棚に置かれていたものです。カントリー風の雰囲気を壊さないように偽装されていた冷蔵庫には、新鮮な果物も入っていました。生ものはさすがに怖くて使えませんでしたが。逆にここまでそろっているのに、紅茶がないというのが不思議なぐらいです。
考えられることは一つ。この島のどこかにこれら食品の製造工場が存在し、今でも完璧に作動しているという事。
しかし、人間の作った施設というものは案外もろいものです。特殊な環境下にあるここでは、百年と持たないはず……。
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