234: ◆Wv.nqe0Jy.[saga]
2017/03/30(木) 15:19:36.72 ID:Yskfq0Py0
包装を破くと、中には東洋の饅頭のような食べ物が入っていました。黄色で着色された、子供の頭ぐらいのものです。
ぱくりとかじりますと、中には味付けのされた餡が詰まっています。味は、その……、なんというか、形容しにくいです。わたしの語彙で表せるとすればうま味がある、としか言いようがありません。
まずいわけでは決してなく、むしろ美味なのですが。こんな感じのもの、どこかで食べたことがある気がします。人工物っぽいというか、なんというか……。
わたしが微妙な顔をしていたので、カワウソさんが心配そうに尋ねます。
「おいしくなかった?」
「いえいえ! おいしいですよ。ありがとうございます、カワウソさん」
「そっかー。よかった! これを嫌いなフレンズなんていないもんねー!」
「……皆さんこれを食べられているんですか?」
「うん! そーだよ! ボスがいっつも配ってるんだ!」
道理で、このパーク内では食物連鎖の跡が見られないんですねぇ。定期的に『ボス』とやらから供給されるジャパリまんのおかげで捕食者と被食者の関係性が崩壊しているのでしょう。おかげでジャガーさんにパクリと食べられることがないわけです。
ジャパリまんを食べ終えると、わたしの胃袋も満たされたようです。
一時的欲求が満たされますと、次の欲求が生まれてきました。
「紅茶が飲みたい……」
思い返せば、月に行った時も都市遺跡に行った時も、紅茶は欠かさず持参していました。
紅茶はわたしの生活の一部なのです。紅茶とともに目覚め紅茶とともに一日を過ごし、紅茶とともに眠る。これがわたしの模範的習慣でした。わたしの祖先は戦場で紅茶を飲んだとか言い伝えられていますし。
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