178: ◆Wv.nqe0Jy.[saga]
2017/03/21(火) 14:20:04.65 ID:3m83T0D/0
森の中に、あの青ダルマの姿が見えました。
「…………」
「おーい、どうしたの?」
「じゃ、ジャガーさん、あれ」
森の中で集団移動の真っ最中のセルリアンを指さすと、ジャガーさんも固まります。
「さ、幸い、まだ気づかれていないようですが……」
「なになにー?? あ、セルリアンだ……」
カワウソさんもビクリと体を震わせました。
「できる限り音を立てないようにしましょう」
わたしは声を潜めます。距離があるので、トロッコの通行音は聞こえていないようです。このままうまくやり過ごして……、
その時、とんでもない音とともにトロッコが脱輪しました。
「きゃぁ!?」
我々は地面に投げ出されます。
「な、なにごとっ!?」
「ああ、線路に小石が……。これのせいでしょう」
「トロッコさん怒っちゃったのかな?」
わたしは小石を取り除き、トロッコを線路に戻そうと立ち上がって、セルリアンと目が合いました。
「…………」
ジャングルの湿気を含んだ風が我々の間を駆け抜けます。永遠に続くかのような沈黙でした。木々のざわめきだけが耳に入ります。
この場にいる誰もが金縛りにあったかのように固まっていました。
それを破ったのは、やはりというか当然というか、セルリアンです。連中はあの口の付いた触手をこちらに向け大挙して押し寄せてきます。
「ととととトロッコ! トロッコを! お二人とも早く!」
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