【ダンガンロンパ】辺古山「猫のいる生活」
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63: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/14(火) 17:37:56.08 ID:PdWpZk630
『あんたに飛び込む気はねぇが、飯の用意は助かるぜ』

 俺が言葉を発した瞬間、獄原の顔が明るくなった。

獄原 「わあっ! ペットは飼い主に似るっていうけど、声と喋り方まで似てるんだぁ!! スゴイよ!!」

「!」

獄原 「キミのお名前は?」

 こいつ、動物の言葉が解るのか?! そういや昔、狼に育てられたんだったか。なるほどな。だったら話は早いぜ。

『似てるもなにも、俺がその本人だぜ、獄原』

獄原 「……? 本人……? キミが星君って言いたいの……かな? えっと、星君は人間なんだ。それから、キミは猫さんで、キミのお名前を……」

 獄原は獄原なりに頭を悩ませながらも、俺は猫という存在であること、飼い主である俺とは別の存在だという、俺以外が聴けば、何言ってんだと言われても仕方のない説明をしようと頑張っている。頑張っているところを悪いが、バッサリと斬り込んで会話の主導権を奪う。

『それがな、朝目覚めたらこの姿になっていやがった』

『つまり、俺が正真正銘の星 竜馬だぜ』

 獄原の動きが止まる。しかし直ぐに獄原の眼と口が大きく開き、驚きの声を発した。

獄原 「ええっ?! そうなの!?」

王馬 「何ひとりで喋ってんのゴン太。気持ち悪っ」

 獄原が隣で大きな声を出したために、王馬は耳を塞いで、げんなりした顔で獄原を見上げる。

獄原 「ち、違うよ! この猫さんがね、自分は星君だって言うんだ!!」

 獄原の言葉に、王馬は“あー?”と言いながら、眼は訝しむように細められる。

王馬 「ゴン太の頭はついに壊れちゃったみたいだね」

 まあ、ふつうならそう思うだろうよ。俺だって同じ立場なら、一瞬だけでも獄原を疑う。なぜ一瞬なのかは、獄原の為人がそうさせる。こいつが嘘を吐くはずがない。むしろ疑う自分の方がどうにかしていると思うくらいには、信頼している。だから、疑うとしても一瞬だ。
 だが、王馬が本心で疑っているのかは疑問だがな。王馬は獄原の揶揄い易さだけではなく、嘘を吐けないところも気に入っているだろうからだ。

獄原 「本当だよ! ど、どうしたら信じてもらえるかな…」

王馬 「可哀想にゴン太……」

獄原 「どうしてゴン太が可哀想なの……? あ、そうじゃなくてね?!」

 王馬の胸中は解らないが、しかし獄原も、にわかには信じられない現象を、王馬に理解させたくて、言葉をみつけようと頭を抱える。紳士をめざしている獄原からすれば、嘘を吐いていると思われるのは、気分のいいもんではないだろう。
 しかし俺を前に繰り広げられる、終わりの見えない押し問答に辟易して嘆息する。猫の姿だと、うるせぇと一喝することができねぇのが面倒だ。一喝したところで可愛い鳴き声なんて、やるせなくなる。

『獄原、王馬は俺の言葉が通じねぇんだ。理解させようとするだけムダだ』

獄原 「で、でも…」

『行こうぜ』

 ベッドから飛び降りて、獄原に部屋から出る意思をみせるが──俺の体が急に上へと引っ張られ、足が地面から浮いた。そのまま体がぐんっと持ち上がり、体を回転させられる。対面した相手、俺を持ち上げた犯人は王馬だった。


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