6: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2017/03/11(土) 01:57:13.72 ID:XmOu0iY50
(しかし、猫になっちまうとはな…部屋から出られねぇな)
(ずっとここでおとなしくしているつもりはねぇ)
この部屋の扉は内開き。しかもノブは押して引かなきゃならねぇタイプだ。今の姿じゃ、この部屋をひとりで出ることはできねぇだろう。
(連絡なしに休んだとなれば、先公が部屋を訪ねるかも知れねぇが…いつになるかねぇ)
そんなことを考えてから、扉を仰ぐのをやめ、することも限られているため、寝ちまおうとベッドに戻ろうとした時。
ピンポーン
部屋のチャイムが鳴った。時計をみれば6時。大体のヤツは今から起きだすような時間だろう。今起きているようなヤツは体育会系で朝練しているヤツらだろうが…この時間にわざわざ訪ねてくるようなヤツは思いあたらねぇ。
とりあえず、扉を爪で引っ搔いてみることにした。
木製ではない扉を引っ掻けば、爪からイヤな感覚と金切り音が響いた。すると、相手に聴こえたのか? 唐突に扉を叩きはじめた。しかしそれはすぐにやんだ。
(なんだったんだ?)
静かになったところで踵を返してベッドに飛び乗る。猫になっちまったせいなのか、布団が暖かくなってくるとすぐに眠気がさしてきた。
(このまま目を閉じちまえば、気持ちよく眠れそうだな。二度寝なんざ、何年ぶりかね)
忘れてしまおうとしてきた在りし日の自分を、ふと振り返っちまった。このまま戻れないようなら、この学園を卒業した後に、監獄に戻ることもない。そうすればどれだけ楽だろうな。
(しかしそいつぁ、逃げだな。カッコつきやしねぇ)
いろいろと考えている内に、そのまま眠りに落ちそうになったとき、扉からガチャガチャと奇妙な音が聴こえてきた。
(なんだ?)
なかなか鳴りやまない音を不審に思い、ベッドからおりようと体を起こした瞬間、ガチャンと大き音がするのと同時に、聞き覚えのある声と姿が賑やかに部屋へ入ってきた。
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