42: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2017/09/07(木) 13:01:44.32 ID:AXhxCYg/O
(私が猫を飼う…か)
今、こうしている間にも、自分の部屋で猫が留守番をしているのだろうと考えると、自然と頬が緩んでしまう。
(今頃はもう夢の中かもしれんな)
しかし、浮かれてばかりではダメだ。必要なモノを買い揃えなければならない。放課後にホームセンターに向かわねばな。ペットショップだと、動物たちが私に怯えて騒ぎだしたりしてしまうからな……。
「あ」
(いやまて……放課後に買いに行くまで…餌がないということではないか…。トイレだって…)
今、こうしている間にも、自分の部屋で猫は過ごしている…猫に必要なモノがなにひとつとして備わっていない部屋で、だ。
気分が舞いあがってしまって、なにも考えていなかった! 休んでしまうか?
この学園は、才能テストで結果を出せてさえいれば、出席や授業態度に関して問題はないしな。
(今日は休んでしまおう。坊っちゃんに連絡しておかねば)
スマートフォンを取り出し、見慣れた番号にかける。それほどの時間もかからず、電話はとられた。
九頭龍 『おう、ペコ。朝っぱらから電話してくるたぁ、どうした?』
「申し訳ありません。今日は授業を休もうと思いまして、ご連絡をさしあげました」
九頭龍 『休むって、オメー体調悪ぃのか?!』
「いいえ。むしろ体調はよいぐらいです」
九頭龍 『? んじゃあ、なにか用事か?』
「はい。急なことで申し訳ありません」
九頭龍 『…なんか妙なことじゃねーだろうな?』
「血を見たり、複雑な内容ではありません。ご安心ください」
九頭龍 『そんならまぁ…いいけどよ』
「今日はあなたのお側に着けません。周りにはくれぐれもお気をつけください」
九頭龍 『学園内なら、オメーが心配するような事態はそうそうおきねぇよ。むしろオメーが安心しとけ』
「……ありがとうございます」
「それでは失礼します」
通話を切ると、私は部屋へ戻るために踵を返した。
(制服のまま学園の外に出るのは、さすがに目立ってしまう。いちど着替えてから、ホームセンターへと向かおう)
(あの猫は今頃、夢の中だろうか? 起こさぬようにせねば)
そんなことを考えながら、いつもに比べ足取りも軽く感じながら、自室へと戻った。
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