2: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2017/03/11(土) 01:51:38.24 ID:XmOu0iY50
辺古山 「殺気を抑えられないということはこの先、強敵と対峙することになった場合、居場所を把握され形成不利となってしまう」
辺古山 「最近は、殺意を抑える訓練もしたほうがよいだろうかと考えている」
辺古山 ペコという、一風変わった可愛い響きの名前の女から発せられる気配は確かに、業物のように研ぎ澄まされた剣先を思わせる。
その気配を眼光に宿して睨めつければ、喉元に刃物をスレスレにまで突きつけられているような気分を味わうだろう。
「理由はそれだけか?」
辺古山 「け、決して動物に触れたいという不純な動機ではないぞ…!?」
「ふっ、お前さんが動物好きなのは承知なんだ。焦って隠すこともないだろ」
辺古山 「うっ…確かにそうだが…」
どれだけの強者でも、感情を捨てていなければ人間らしい表情をみせる。こうして好きなものを意識している内はこいつも、武装している殺気や、緩むことのない表情が柔和になる。
普段からこうだったら、動物に逃げられることもねぇだろうに。
「だがそうだな…必要もないときに殺気を垂れ流したままというのは良くねぇかも知れねぇな」
辺古山 「やはりそう思うか? 今までは護るべきお方のために、剣技を磨くことにだけ集中していたが故、気配を殺すことは考えていなかった」
辺古山 「まさかそれを必要に思う日がくると思わなかった…」
憂うように目を伏せて、辺古山は嘆息する。動物に触れないことにそれほどに思い悩んでいるのか。確かに、こちらは好意があるのに、相手から幾度も怖がられたりしたら、さすがにメンタル削られちまうか。
「お前さんにやる気があるなら、いつかは触らせてくれるヤツが現れるだろうよ」
辺古山 「ああ。いつかこの手にもふもふを…」
苦い表情で、歯の隙間から感情の籠った言葉をこぼしながら血が滲むんじゃねぇかというくらいの力をいれて拳を握る。
俺なんかと違って辺古山には生きていればまだ先がある。未来がある。何ができるワケではないが、辺古山の願いが成就するよう、応援くらいはしてやろうじゃねぇか。
そう思っていた。
しかしまさかこの辺古山の願いを、俺自身が叶えてやることになるとは想像もつかなかった。
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