105:ヒヤコ ◆XksB4AwhxU
2017/04/01(土) 10:40:14.62 ID:fPDAiR9v0
【翌日】
一時間目の国語を終えて、俺たちは窓の近くに集まっていた。神蝕まで、残り10分を切っている。
今日は通常型が来るという予想だったが、『始』から言って、命の危険があるのは間違いないだろう。
日向 「もうすぐだな……ん、罪木?」ギュッ
罪木 「あ、あのう…その……日向さんがお嫌じゃなかったら……」
日向 「分かった。一緒に行こう」
罪木 「ふえっ!?な、なんで私の言いたいことが分かるんですかぁ!?」
日向 「エスパーだから……いや。俺も一人は怖いから、かな」
そういえば、学園長室はこの校舎の四階にあったな。生徒たちが神蝕へ向けて動いている今なら、
様子を見に行っても誰かに見咎められたりはしなそうだ。
日向 「狛枝、不測の事態に備えてお前の"幸運"を頼ってもいいか?」
狛枝 「えっ……こんな肉体にも精神にも起因しないゴミ以下の才能を、
超高校級の希望があてにしてくれてるの?そんなわけないと思いたいけど、
もしそうなら「ついて来い」……分かった」コクン
罪木とは違う方向に卑屈なだけなんだが、いちいち相手をムカつかせるのが狛枝の不運な所だと思う。
豚神 「気をつけろ…学園長のことだ。何か対策をしている可能性は高い」
日向 「やっぱりお前には分かってたか。少し覗いて帰るだけだから、心配するな」ガラッ
俺たち3人は教室を出て、階段を上った。まず、職員室をこっそり覗く。
中では先生モノクマが何体か働いていた。人間の気配はない。次に、学園長室の扉の前に立つ。
日向 「ちょっとでも中が見えたらいいんだがな……」
狛枝の幸運が作用してくれたら――「そこで何をしてるの?」
戦刃 「学園長先生に何か用?」
狛枝 「君こそ……学園長のボディガードか何かかい?僕たちはただ、散歩していただけさ」アハハ
戦刃 「私の許可なくそこに入ることは許さない。今すぐ退いて!!」ブンッ
日向 「手榴弾!?」サッ
ドカーンッッ
罪木 「きゃあああ!?か、髪の毛が熱っ……」パッパッ
日向 「だ、大丈夫か罪木!!……か、髪の毛が燃えっ……消してやるから落ち着け!!」
俺は急いでブレザーを脱いで、罪木の頭を叩く。髪に燃え移った炎が消えると、
罪木は尻餅をついたままぐすん、ぐすんと泣きだした。
狛枝 「あーあ、派手にやったね。僕が吹き飛ばしたのよりはだいぶ威力が小さいけど」
これじゃ停学は免れないね、と白々しい感想を言いながら、狛枝は両手を上げた。
戦刃 「まだシラを切るつもり……?だったら、私にも考えが「な、何これ!?」……盾子」
狛枝 「ナイスタイミング、江ノ島さん」ボソッ
走ってきた江ノ島は、吹っ飛んだ扉と俺たちを見て「お姉ちゃん!!」と戦刃の頬を張った。
戦刃 「ッ、……!」ジンジン
江ノ島 「学校の中で銃火器は使っちゃダメって、何回も言ったじゃん!ほら、日向センパイたちに謝って!」
戦刃 「……ごめん、なさい」ペコッ
江ノ島 「もう……ごめんね。お姉ちゃんったら、ドジな上につい傭兵の血が騒いじゃうみたいでさ。
このお詫びは蝕が終わった後にするから……ほら、さっさと行くよ!」ズルズル
江ノ島が姉を引きずっていくと同時に、狛枝は「僕の能力、分かってもらえたかな」と笑っている。
狛枝 「幸運の"運"は、運ぶ、巡らせるという意味があるんだ。戦刃さんの運勢を操作して、
妹に怒られる不運を与えるくらいは簡単にできるんだよ」
俺たちはそこで、誰からともなく振り返った。学園長室の固い扉が
戦刃のおかげで破壊されて、中に入れるようになっている。
これが狛枝の幸運パワーか!……夕飯のからあげ半分で手を打とう。
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