86: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2018/11/02(金) 09:15:13.21 ID:rlpAyYI4O
その言葉にひとまずほっと息を吐き、なんであんなになるまで走ったのかを聞いた。
ひょっとしたらこの娘も先生のことを……という思いが鎌首をもたげたから。
何を言われてもいいよう身構えると、よどみながらもお嬢様は口を開いた。
掻い摘んで言ってしまえば、私に置いて行かれたくなくて一所懸命走ったそうだ。
何を馬鹿な事をと感じたのと同時に、はたと思い出した。
彼女には私しか友達がいないのだということを。
別に今までいたかどうかは知らないが、それでも今彼女の友達は私だけ。
……それにたぶんだが、お嬢様は今までまともに交友関係を築けなかったんじゃなかったのか。
思い出されるのは、彼女のおどおどした態度。
彼女はお金持ちらしい。普通それだけのポテンシャルがあったら自信にあふれているものだろう。
少なくとも、お嬢様のように自信なさげにおどおどするのはおかしい。
そういったところからお嬢様にはまともに友達がいたことがなかったんじゃないかと考え至ったわけだが。
ようは人との距離の取り方がわからないのだ。
だから、なりふり構わず突っ走り始めた私に無理して追いつこうとした。
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