126: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2019/03/09(土) 19:59:49.45 ID:XWj0qJN60
女「いやいや、私いまどんな状況かわかってないの! 眠ってる人が突然サバンナに投げ出されて家に帰れると思う? 答えはノーだね!」
意味不明な例え話が功を奏したのだろう。
掴んでいた腕から力が抜けた。
母「……あなた、三日間寝たきりだったのよ」
女「はあ?! 三日!?」
母「そう三日間。……あなたどこまで覚えてるの?」
女「え……? 雨のなか歩いて帰って……あれ?」
おかしい。歩いて帰れる距離じゃないぞ。だけど電車に乗った記憶もない。
女「まさか……」
母はそんな私を見て一息つくと言った。
母「あなた雨のなか倒れたのよ。見つかるのがあと三十分遅かったらもうここにはいなかったかもしれないって……」
女「……まじすか」
母「……そんなことで嘘つかないわよ」
母「肺炎にもなるし、ものが食べれないから点滴だし、助からないかもってお医者さんにも言われて」
母「もう、貴方しかいないのよ、私に、家族は」
母「バカなことしないでよ……」
女「お母さん……」
母「女……」
抱き締められた。
久しぶりの抱擁は温かく、頬に走る痛みを許してあげようという気になった。
心配かけた私が悪かった。
だから、お母さんの目から溢れたものは見なかったことにした。
女「ごめんなさい」
返事の代わりにきつく抱き締められた。
私は抵抗することなくしばらくそのままでいた。
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