俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』 その他 Part2
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609:1[sage]
2019/07/13(土) 20:35:24.18 ID:SkCQuLIZ0

時間が時間だったせいもあってか店内は混み合っており、暫く待って案内されたのはふたりがけの狭い席。
お互いの足がくっつきそうな距離で、しかもすぐ目の前にあるのが眉間に縦皺を寄せた三浦の顔とあっては寛げと言う方が無理な話である。

三浦は三浦で自分から強引に誘っておきながら、その後は何を話すでもなく、頬杖をつき手持無沙汰げに金髪ゆるふわ縦ロールをみゅんみゅんと引っ張りながら遠い目で窓の外を見るばかりだ。


八幡「 ……… なんか食うか?」

黙っているのもなんか気まずいので恐る恐る声をかけると、三浦がふるふると小さく首を振って応える。

八幡「 ……… とりあえず飲み物だけでも頼んどくぞ」

返事はないが一応断りを入れてからコールボタンを押し、ドリンクバーを二人分注文する。

ウエイトレスのお姉さんが心なし震え声で、それでも律儀にオーダーを復唱してからそそくさと下がるや否や、


三浦「あーし、カプチーノ」 やおら三浦が口を開いた。

八幡「 ……… は?」


いやお前三浦だろ? いつの間に名前変わったんだよ? それともあれか? いわゆるA.K.A.ってやつ? お前もしかしてラッパーだったの? 


三浦「カ・プ・チ・イ・ノ」

くるりとこちらに顔を向け、デコデコにデコった指の爪先でコツコツとテーブルを叩きながら不機嫌そうになおも同じ単語を繰り返す。

……… なるほど、どうやら俺にカプチーノを淹れてこい、ということらしい。うん、最初から知ってた。

しっかし、いるんだよなー、こんだけ男女平等が声高に叫ばれるご時世に、未だに女は男にかしずかれて当然みたいに考えている超勘違いタカビー女。
自分は指一つ動かさないくせして、それでいて男が何もしないでいると、やれ気が利かないだの、気が回らないだの言って文句垂れるんだぜ?
そんなにぐるぐる回ってたら溶けてバターになっちまうっつの。 

だが、進路希望調査票第一希望に堂々と専業主夫一択と書いて職員室に呼び出され、進路指導の先生から小一時間に渡り懇々とセッキョーかまされたうえに反省文まで書かされるほどの男女平等原理主義者の俺としては、例え目の前にいる相手が誰であれ、ここはひとつガツンと言っておかなければ気が済まない。

半ば席から腰を浮かせながら、テーブルに手をつき、上から見下ろす形で三浦に向けてきっぱりと告げる。


八幡「 ……… 砂糖はどうする? シナモンスティックないけど、いいか?」




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